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パンガン島で最高の場所 ― The JAM Barの夜

2025年9月23日 配信

忘れられない夜は、パンガン島在住のアメリカ人の友人からの誘いで始まった。パーカッションを演奏する彼は「島にはパーティーやバーがたくさんあるが、ここがベスト。最高の場所なんだ」と言いながら、ある店へと導いてくれた。



島南部のトンサラから北方面へ向かう道路をバイクでゆっくり15分ほど走ると、右手に「The JAM Bar」の入口が現れる。白いカーテンがかけられただけの控えめな入口で、通り過ぎれば見落としてしまいそうだが、その先には特別な空気が広がっている。営業は木曜と日曜の夜のみ。この日は日曜日だった。

100バーツのエントランスフィーを払い、カーテンをくぐると、目の前に別世界が広がった。マナオ(ライム)を入れたソーダの瓶は40バーツ。空いている椅子に腰を下ろすと、場の空気にすっと馴染んでいくのが分かった。

ドリンクはカウンターで自分で購入するシステム。店内には椅子とテーブルが並び、シンプルながら居心地のよい造りになっている。その一方でゴザも敷かれていて、観客は腰を下ろしたり寝転んだりしながら音楽を楽しむこともできる。竹や木を基調にしたステージは、布やランプでやわらかく飾られ、その光が空間全体を包み込んでいた。

到着したのは夜9時半ごろで、すでにセッションが始まっていた。このバーでは在住者でも旅行者でも、音楽が好きなら誰でもステージに上がることができる。自分の楽器を持ち込む者もいれば、店に用意されたギターやベース、ドラムを手にする者もいる。演奏に参加したい希望や、やりたい曲をオーナーに伝えると順番が回ってきて、ミュージシャンたちは次々に入れ替わっていく。ここは固定されたバンドではなく、まさにジャムセッションの場なのだ。店名の「JAM」も、このスタイルに由来している。

2007年にThe JAM Barをオープンしたのが、オランダ出身のオーナー、ロバート・ヴァン・ダム氏。以前からパンガン島でバーやレストランを営んでおり、この店でも「演奏者と観客を隔てないフレンドリーな空気」を大切にしてきた。彼自身も時折ステージに立ち、歌声を響かせていた。

ステージを見つめながら、アメリカ人の友人は真剣な表情で「君だってステージに上がれるんだよ」と伝えてくれた。さらに「ここでの演奏はファイトがなくて、とてもフレンドリーなんだ」とも語っていた。その言葉が、この店の空気を端的に物語っていた。

夜が深まるにつれて、この場所は本当の熱を帯び始める。奏でられるのは誰でも知っているスタンダードが主だろうか。観客も歌い、声を上げ、体を揺らしながら楽しんでいた。その「敷居の低さ」が温かい一体感を生み出していた。ステージ脇に並ぶ楽器は「音楽を分かち合いたい者は誰でも歓迎する」という無言のメッセージを放っていた。

大半を占めるのはファラン(タイでは西洋人をこう呼ぶ)で、タイの日常とは切り離された「非日常」の空間を演出していた。ファランの女の子たちが南国らしく着飾り、リズムに身を任せて体を揺らし、友人同士でハグなどしながら楽しそうにしている姿は、この場所をいっそう魅力的にすると同時に華やいだものにしていた。仲間のコーラを運ぶ姿さえも、まるで映画の一場面のように見えた。その風景の中で時折漂うジョイントの香りがまた、この空間を形づくる色のひとつになっていた。
気づけば物語のページの中にいるようで、知らなかった世界が一気に開けていった。

熱気は時間が深くなるほど高まっていった。0時前に店を後にしたが、アメリカ人の友人によれば、この空気は朝の3時頃まで続くのだという。それでも決して窮屈ではなく、訪れた人々は好きなときに現れ、好きなだけ空気を味わって去っていく。

音楽と人々の喜び、南国の夜の空気が溶け合っていた。
ここはまさに、パンガン島で最高の場所だった。

The JAM Bar Koh Phangan Thailand

[住所]
Q234+RV7 ถนน หินกอง Ko Pha-ngan, Ko Pha-ngan District, Surat Thani 84280
[電話]
0859230337
[ウェブ]
https://www.facebook.com/thejamkohphangan/

 

 

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