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優勝&昇格請負人が伝授する人心掌握術

2020年11月17日 配信

自己啓発本の様な題名にあえてしてみました。現役時代はJの第一線で戦えなかった自分は、地域大会や全国社会人大会、そして天皇杯地域予選などで優勝や昇格を至上命題とするチームに身を置き続けた。またタイでは選手や指導者として、大小さまざまな大会で頂点を目指すチームに携わっている。そんな中で、チームを当たり前の様に勝たせる人心掌握術(などと大それたものでは無いが)を、少しだけ…自分がアドバイザーを務めるセレッソ大阪サッカースクールバンコク校での話。優勝させるべくして優勝させた伏線の引き方をお教えしましょう!!



11月、バンコクでは「今学期終了後、本帰国します」という寂しい知らせが届く。だから年末の大会は「仲間と一緒に戦う最後の大会」という位置づけで、優勝目指して日々トレーニングに励む。今学期より定期的に指導の現場へ復帰した自分はU-10チームを任されることが多い。11月15日(日)に行われたCUKI J-Cupもこちらのチームを任されることになった。

予選が12分1本という事で、キックオフ直後から100%フルスロットルでプレーするべく、日々の練習でダラッと入ってしまう選手達を「1時間半の練習には、最初から集中して望め」と口酸っぱく鼓舞。更に競った試合ではセットプレーが要注意、押せ押せの試合には「一発」の怖さを常に諭していた。

U-10チームには、先月の大会時に「俺たちは勝ちに来ている」と豪語していた頼もしいキャプテンが存在する。当然背負う番号も10番とエースナンバー、大会開始前にその熱さを仲間に伝えて貰おうと「キャプテン、何か一言あるか?」と振る…すると「いえ、大丈夫です」と予想外の返答。全員でバカでかい声で気合を入れる円陣も控えめ、だ…大丈夫か⁉初戦&2戦目ともにスロースタート、波に乗り切れていないキャプテンを呼び出して話を聞いてみる。

「お前キャプテンだろ、10番背負ってるんだろ!!もっと気持ちをグランド上で表現しねぇと駄目だろ⁉」と伝えると「12月に本帰国、最後の大会で緊張している」という。なるほどね、「いくら緊張したって上手くならないから、自分でゴールを決め続けて自分の大会にしちゃえよ。んで、自分の手でトロフィーを掲げなさい」と。その後堅さの取れたキャプテンは輝きを取り戻した。

予選2位までに入らないと決勝へ残れない。4試合全勝で1試合を残し早々に決勝進出を決めた。チームの底上げにどうしても必要なサブのメンバー、一人は選抜クラスでプレーしていない選手を抜擢していた。いきなりの抜擢で、普段の選抜クラスの練習に参加させた際はどうにも付いていけていない様子。本人も不安そうな表情、「何で抜擢したと思う⁉日々真面目にサッカーと向き合って、ボールに食らいついていたからだよ。思い切り1つ1つやり切って、1つ1つのプレーに一喜一憂してみなさい」と。大会を通して1失点で終えたチームに大いに貢献してくれた。

予選最終戦は先月の大会決勝で負けた相手、こちらも決勝進出を決めていた。だからちょっと戦い方を変えて相手がどの様に反応するか試してみた。するとキックオフ前の陣形を見て相手が作戦を変更しようとしていたので「あ、混乱してるなぁ」と分析。この試合は0-1で落とすも選手達には「気にしないで良いよ、絶対勝てるから」と(少しの根拠しかなったけど)自信を持って臨むように次(決勝)へ気持ちを向かせた。

GKは人一倍負けん気の強いファイタータイプ、でも褒められるととことん調子にのる。集中していれば失点はしないと感じていたので、「一発の怖さ」を伝えFKなど簡単な壁の作り方を教え「あとは存在感だよ」と。自分の中で彼がこの大会に関してはMVPだったと思うね。

キャプテンにとことんライバル心を燃やす3年生がいる。普段の練習や試合でもまぁパスをしない。因みに自分にも「ねぇ“いとたく”」とタメ語、好きだね…こういうタイプ。とにかく彼は戦い続けられる選手だから、「(周りがなんていっても)ゴールに向かい続けなさい。その代わり、そのためのボールはパスを受けるだけじゃなく相手からも奪い続けなさい」と常にボールに関わり続ける様に指示。相手のミスもあったが、彼の蹴ったCKのボールがそのまま決勝弾となった。

バンコクでの小さな大会だったかも知れない。でも本帰国するキャプテンを囲み、みんなでトロフィーを頭上に掲げる姿をみて、少し泣きそうになった。でも自分の指導ポリシーは、強いチームを作るのではなく、個々人が日本に帰ってからもやり合える選手を育て続けること。その結果が優勝だと思っているので…でも、「仲間と一緒に戦える最後の大会」の優勝に向けて日々ボールが蹴れる選手達を少し羨ましく感じた。

「優勝&昇格請負人の人心掌握術」、それは個々人の性格に合わせて、現在の置かれている状況を照らし取り組むべく課題を明確に与えること。さぁこの仲間とボールを追い掛けられる残り1ヶ月、熱苦しく接していきましょうかね!!

伊藤琢矢(いとたく)
アマチュアに拘りプレーを続けた20代。33歳でのプロ契約を期にJリーガーを目指す事に。大宮・岡山・北九州とJリーグ昇格に携わり、自身は36歳でJのピッチに立った。2011年よりタイに活躍の場を移した「夢追人」。https://www.thaich.net/itotaku
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