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「改正プロバイダ責任制限法」成立、SNSや掲示板での誹謗中傷の書き主の特定が簡素化

2021年04月30日
カテゴリー: ワールドニュース

「改正プロバイダ責任制限法」成立、SNSや掲示板での誹謗中傷の書き主の特定が簡素化

SNSや匿名掲示板、そして本サイトのコメント欄などでも度々見られる誹謗中傷。現在、誹謗中傷の被害に遭った人が書き手を特定するには1年ほどかかりますが、この度「改正プロバイダ責任制限法」が成立したことで手続きが簡素化され、数ヶ月で書き手の情報の開示が可能になります。



トラブル解決のプラットフォーム「カケコム」を運営する株式会社カケコムは2021年4月30日、「改正プロバイダ責任制限法」の成立を受けて実施した、SNSでの誹謗中傷に関わる経験についての調査の結果を発表しました。また誹謗中傷の事例や対処法についても解説しています。

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SNS利用者の半数近くが「誹謗中傷を受けた経験がある」、4分の1が「誹謗中傷をした経験(誹謗中傷になるかもしれない投稿、リツイート等を含む)がある」と回答。

2021年4月21日、インターネットで誹謗中傷を行った人の特定をしやすくするための「プロバイダ責任制限法」の改正案が可決されました。

昨今深刻な問題となっているSNSの誹謗中傷。本記事では、アンケート調査を基に、SNS利用者のうちどれくらいの人が誹謗中傷にあった、または誹謗中傷をした経験があるのか、その実態に迫ります。
また、具体的にどのような行為が法的に誹謗中傷にあたるのかや実際にあった誹謗中傷の事例、誹謗中傷にあった場合の対処法についても解説いたします。

誹謗中傷にあって悩んでいる方はもちろん、知らない間に誹謗中傷する加害者になってしまっていないか不安な方、誹謗中傷に対する正しい対処法を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

「改正プロバイダ責任制限法」が成立

気軽に自分の意見を発信したり、情報収集をすることができるSNS。しかし、匿名で投稿できることや相手の顔が見えないことから、昨今SNSでの誹謗中傷が大きな問題になっています。

こうした問題を受けて今月21日、インターネットで誹謗中傷を行った人の特定をしやすくするための「プロバイダ責任制限法」の改正案が、衆議院本会議で可決・成立しました。
これまで、誹謗中傷を行った人を特定するためには、SNS等のコンテンツ事業者と、誹謗中傷を行った人が使った通信事業者(プロバイダー)の両方に、発信者情報の開示を求める必要があり、手続きに時間がかかることが課題とされていました。しかし、改正法施行後は、裁判所を通じた1回の開示請求で手続きが済むようになります。
現在、誹謗中傷を行った人を特定するための開示手続きには1年ほどかかりますが、この法案が施行されれば、数ヶ月から半年で済むようになります。
また、裁判所は、事業者に誹謗中傷を行った人の情報を消さないよう、命令を出すことも可能です。

今回のプロバイダ責任制限法の改正の背景には、2020年5月に起きた、人気リアリティー番組に出演していた女性がSNSの誹謗中傷を受け自殺した、痛ましい事件があります。この事件をきっかけに総務省の有識者会議で議論が進み、改正法が成立しました。
この事件を含め、近年起きたSNSの誹謗中傷に関する事例を本記事の後半にてご紹介していますので、興味がある方はそちらをご覧ください。

 

SNSでの誹謗中傷に関わる経験についてアンケート調査を実施

今回カケコムではSNSを利用している方100名を対象にアンケートを実施し、「SNSで誹謗中傷を受けた経験があるか」「SNSで誹謗中傷(誹謗中傷になるかもしれない投稿、リツイート等を含む)を行った経験はあるか」調査しました。
以下は調査概要です。

 

44%がSNSで誹謗中傷を受けた経験があると回答

SNSで誹謗中傷を受けた経験について伺ったところ、経験があるとの回答は44%、経験はないとの回答は56%という結果となりました。

 

どのような誹謗中傷を受けたのか、実際にSNSで誹謗中傷を受けた方に伺ったところ、周囲の人間関係のトラブルから誹謗中傷に繋がったケースや、自分のSNSでの投稿に対して誹謗中傷を受けたケース、家族がインターネットで炎上しそれに巻き込まれたケースなどがあげられました。

実際の声

このように、誹謗中傷を受けることになるきっかけはさまざまであり、誹謗中傷を完全に予防するのは難しいといえます。決して他人事ではありませんので、これまで誹謗中傷にあったことのない方も「自分は大丈夫」と思わず、誹謗中傷への正しい対処法を知っておくことが大切です。

 

25%がSNSで誹謗中傷を行った経験があると回答

次に、SNSで誹謗中傷を行った経験(誹謗中傷になるかもしれない投稿やリツイート等を含む)について伺ったところ、経験があるとの回答が25%、経験はないとの回答が75%という結果となりました。
4人に1人が誹謗中傷にあたる可能性のある行為をした経験があるというのは、割合としては非常に高いのではないでしょうか。誰もが被害者だけでなく、加害者にもなり得るということを示しているといえるでしょう。

さらに、誹謗中傷を行った経験がある方にどのような形での投稿を行ったのかアンケートを実施した結果、4名が「誹謗中傷の投稿をしたことがある」、15名が「誹謗中傷にあたるかもしれない投稿をしたことがある」、8名が「誹謗中傷にあたる投稿の拡散(リツイート等)をしたことがある」と回答しました。

今回の調査では「誹謗中傷にあたるかもしれない投稿をしたことがある」との回答が最も多く、人によってどこからが誹謗中傷と捉えるのか、判断の難しさが表れた結果になったのではないでしょうか。

実際の声

そして、次に多いのは「誹謗中傷にあたる投稿の拡散(リツイート等)をしたことがある」との回答でした。投稿の拡散は「自分が誹謗中傷している」という意識があまりなく、気軽に行ってしまうことが伺えます。
しかし、「誹謗中傷する投稿の拡散」により民事責任を問われたケースも実際に起きており、情報の拡散をする際にはこうしたことを理解した上で行うことが必要です。

実際の声

 

どのような行為が誹謗中傷になる?

ここまで、誹謗中傷を受けた方や誹謗中傷を行った方がどれくらいいるのかや、これまでにあったSNSの誹謗中傷に関する事例についてご紹介してきました。
では誹謗中傷とは具体的に、どういった行為を指すのでしょうか?どこから誹謗中傷になるのかの判断は人によって異なるところがあり、難しいところです。

ここからは、どういった行為が誹謗中傷にあたる可能性があるのか、刑事責任に問われる可能性のある行為について解説していきます。

 

名誉棄損罪にあたる行為

公然と事実を摘示して相手の社会的名誉をおとしめる行為は、名誉棄損罪に問われ、罰則は3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
例えば「○○は前科持ちだ」といった個人のプライバシーに関する情報をSNS上で流すと、名誉棄損にあたる可能性があります。

 

侮辱罪にあたる行為

先述した「名誉棄損罪」に対し、事実を摘示せず、公然と人を侮辱した場合、侮辱罪に問われ、拘留又は科料が科せられる可能性があります。
「バカ」「能なし」など、相手の人格を否定するような内容の投稿は、侮辱罪にあたる可能性があります。

 

信用毀損罪・業務妨害罪にあたる行為

事実とは異なる情報を流し、人の信用を失わせた、または業務を妨害した場合、信用棄損罪・業務妨害罪に問われ、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
「○○で売ってる食材には異物が混入している」「○○は腐った食材を使っている」等、嘘の情報を投稿した場合、信用棄損罪や業務妨害罪に問われる可能性があります。

 

脅迫罪・強要罪にあたる行為

相手を「殺すぞ」といった言葉で脅迫したり、その脅迫によって本来義務のないことを行わせたり、権利の行使を妨害したりすると、脅迫罪や強要罪に問われる可能性があります。
脅迫罪の場合は2年以下の懲役又は30万円以下の罰金、強要罪の場合は3年以下の懲役が量刑として科されます。

 

実際にあったSNSでの誹謗中傷の事例

事例1 テレビ番組の出演者がSNSで誹謗中傷を受けた事件
人気リアリティー番組に出演していた女性が2020年5月、番組内での言動をきっかけに誹謗中傷を受け、自殺しました。
この事件に関して2021年3月に、SNS上で女性に対する悪質な投稿を複数回したとして、大阪府内に住む20代男性が略式起訴され、東京簡易裁判所は科料9000円の略式命令を出しています。
プロバイダ責任制限法の改正は、この事件をきっかけに総務省の有識者会議で議論され、実現したものです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0f394645251e19914f34c7859564f919e8c52582, https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210330/k10012945751000.html 参照)

事例2 あおり運転事件で無関係の女性のデマ情報が流された事件
2019年8月に起きたあおり運転事件で、事件とは無関係の女性がSNS上で「同乗者の女性である」というデマ情報を流されました。
この事件では、元市議会議員がデマ情報を鵜呑みにし、拡散したとして、東京地裁は元市議会議員に33万円の賠償を命じました。
https://www.asahi.com/articles/ASN8K5WMLN8KUTIL019.html 参照)

事例3 女児が行方不明になった母親が誹謗中傷を受けた事件
2019年9月、山梨県道志村のキャンプ場で女児が行方不明になった事件。女児の母親が、多くの人に情報提供を呼びかけるために受けた報道陣の取材をきっかけに、犯人扱いされるなどの批判が相次ぎました。
この事件では、2020年10月、SNSを通じて「殺す」といったメッセージを女児の母親に送ったとして、31歳男性が脅迫罪に問われ、懲役6ヶ月、執行猶予3年の量刑が言い渡されています。
さらに女児の母親は、2021年3月、SNSで「母親が犯人だと思う」といった投稿を行った9つのアカウントについて、米ツイッター社を相手取り、発信者情報の開示を求める訴訟を起こしています。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020101900745&g=soc, https://news.yahoo.co.jp/articles/e059565468bc0241009b75fc2d113a955033b7f4 参照)

 

SNSで誹謗中傷にあった場合の対処法

ここからは、もしSNSで誹謗中傷にあった場合どうすればいいのか、その対処法を解説していきます。

 

ミュートやブロックをする

SNSのミュートやブロックといった機能を使い、自分が傷つく内容の投稿を見ないようにしましょう。誹謗中傷の投稿に対して下手に反論すると、状況が悪化する可能性が高いです。誹謗中傷は基本的に無視し、自分の心を守るために見えないようにしてしまいましょう。

 

投稿の削除依頼をする

SNSの「通報」「報告」「お問い合わせ」等のメニューから、SNSの事業者に投稿の削除依頼をしましょう。
投稿の削除依頼をする際は、投稿を紙に印刷したり、スクリーンショットで画像を保存するなどして、投稿のURLと公開された時間がわかる証拠を残しておきましょう。のちに発信者情報開示や損害賠償請求を行う場合に必要になります。

 

相談窓口に相談する

もしSNSの誹謗中傷に悩んだら、ひとりで抱え込まず、誰かに相談するようにしましょう。
国の行政情報に関するポータルサイト「政府広報オンライン」では、誹謗中傷に関する悩みに合わせた相談先が紹介されています。

 

発信者情報開示請求を行う

SNSで誹謗中傷を受けたら、発信者情報の開示請求を行うことも有効です。
SNSの投稿は、誰が投稿したのか不明なケースが多いので、誹謗中傷を行った人が特定できていない場合は、発信者情報の開示請求を行うことで、加害者に対し損害賠償請求をすることができるようになります。

現行法ではまず、SNS等のコンテンツ事業者や、通信事業者(プロバイダー)に開示請求することになりますが、裁判外で行う場合は「任意開示」となるため、その請求に事業者側が応じるとは限りません。そのため、より実効性のある形で開示請求を行うためには、裁判手続きを行うことになります。

これらの手続きを一般の方がひとりで行うのは、非常にハードルが高いといえます。そのため、発信者情報の開示請求や損害賠償請求を検討している場合は、法律の専門家である弁護士に相談するようにしましょう。

冒頭でご紹介した「改正プロバイダ責任制限法」が施行されれば、被害者は裁判所に申し立てを行うことで、1回の裁判で発信者を特定することが可能になり、時間や費用面の負担が大幅に軽減されることになります。

 

弁護士に相談する

SNSで誹謗中傷を受けたら、弁護士に相談するのもひとつの方法です。
弁護士に依頼すれば、投稿の削除請求や発信者情報開示請求、損害賠償請求、刑事告訴等の手続きを任せることができます。そもそも誹謗中傷に対してどういった対応を取ればいいのかわからなかったり、損害賠償請求や刑事告訴ができるかどうかわからないといった場合も、アドバイスをもらうことができます。

最近では初回相談無料の弁護士事務所も多くありますので、弁護士費用について不安をお持ちの方は、こうした制度を利用して今後の方針についてアドバイスをもらうこともできます。お悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。

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プレスリリース発行のでもカケコムでも弁護士に相談が出来るとのこと。
https://www.kakekomu.com/search?cat=9
また調査の詳細は、カケコムの記事(https://www.kakekomu.com/media/54214/)でご確認ください。

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