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第7回 ラムシンコンサートにはリアルなタイの空気が充満している

2014年09月07日
カテゴリー: 音楽天国タイランド

第7回 ラムシンコンサートにはリアルなタイの空気が充満している

タイは日本人にとっても大人気の観光地なので、ツアーあるいはガイドブックを頼りに個人旅行でタイを訪れた事のある人は多いと思います。

そういったツアーやガイドブックで紹介されている場所ももちろんタイであることには違いありませんが、そこは明くまでも表向きの顔。そこからタイの素顔をうかがい知ることは難しいです。

これまでこのコラムで取り上げてきたコンサートも、中心部から近い場所で開催されているということもあって、比較的マナーの良い観やすいコンサートがほとんどでした。

しかし、今回取り上げるコンサートは、場所もそうですがラムシンという言わばイサーン・ディスコと呼べるタイの人たちが踊って楽しむコンサートでしたので、雰囲気は今までのコンサートとはまるで違うものでした。

◆舞台全景。この頃は始まったばかりなので、まだ観客もおとなしい。

訪れたのは2014年7月12日に行われたブアパン・タンソー(บัวพัน ทังโส)とシーヂャン・ウィーシー(ศรีจันทร์ วีสี)というラムシンでは特に人気のある2人の楽団によるコンサート。場所はスワンナプーム空港の南側に位置するサムットプラカーン県のナームデーンという所でした。

この辺はバンコクへ出稼ぎに来た地方の人々が集まっている場所という事です。コンサートが行われた市場周辺は出店や人も多く非常に賑やかですが、バンコク中心部のそれとはかなり違う空気が流れている印象を受けました。

コンサートは8時過ぎにスタートしましたが、この頃はまだステージでは前座の歌手が歌っていて、お客も少なく落ち着いた雰囲気でした。

しかし、時間が経つにつれて観客が増え、メインの2人が出てくる頃には舞台付近には多くの人が集まっていました。

◆ブアパン・タンソー(左)とシーヂャン・ウィーシー

ラムシンというのは以前ルークトゥン入門でも少し触れましたが、観客を踊らせる為にアレンジされたモーラムのヴァリエーションのひとつです。

このジャンルの歌手であるインリー・シーヂュムポンの大ヒットで少し知名度が上がったと思いますが、彼女の歌はかなり歌謡化されていて分かりやすい反面、ラムシンらしさというのは希薄です。

しかし、ブアパン&シーヂャンの音楽はまさにラムシン100%。彼らのコンサートを観るとラムシンがどういう音楽なのかが良く分かります。

アップテンポの曲をメドレー形式で入れ替わり立ち代り次々と歌い継いでいく2人。それはまさに人力ディスコと呼びたくなる、タイ人のみならず外国人にも充分楽しめる音楽です。

そしてダンサー陣も技術も高く華やかで、そういった意味でも観ているだけでも充分楽しめる要素があります。特にこの楽団のダンサーは厳選されているようで、皆スタイルも良く、他のルークトゥンコンサートにありがちな、素人に毛が生えたようなレベルのダンサーはひとりもいませんでした。

また途中途中にお笑いを挟み、観客を飽きさせないよう工夫もされています。さらに時間が深くなるとお色気要素も高くなり、観客はますますエスカレートしていきます。

◆お笑い担当

◆途中、お色気タップリの若い女性歌手が登場し、観客を煽る

ただ、このラムシンコンサートで注意をしなければならないのは、多くの客がお酒を飲みながらかなり密集度が高い場所で踊っているので、ちょっと危険な雰囲気が漂っているところです。

それは物を盗まれたりする危険性もさることながら、ケンカが勃発する可能性が高い事もあります。酔っ払って密集した場所で踊っているので、些細なことでいざこざが起き、そばにいたりすると危険です。

その為に警察が会場内にいて終始状況を確認していますが、ケンカが起こると椅子が飛んできたりして危ないので、即逃げるのが得策です。あまりひどい状況になったりすると、場合によってはコンサートが中断になることもあります。

危険度が高くなればタイらしいのかと言うと、決してそういうわけではありませんが、観光地では感じること出来ないタイらしい空気が充満しているのが、こういったガイドブックには場所にあったりするものです。

そして、ラムシンコンサートこそリアルなタイの空気が充満している空間。素顔のタイを知りたければ音を浴びながら、全身でタイの空気を感じることが一番の近道なのではないでしょうか。

kapiraja
タイ音楽好きが高じて、現在現地調査中。ブログでも情報を発信しております。「タイ式エンタテイメントの楽しみ方」 http://blog.livedoor.jp/kapiraja1968/基本的にはジャンルにこだわっていませんが、どちらかといえばルークトゥン・モーラムに関する話題が多いです。
ゆくゆくは日本でのタイ音楽知名度がもっと上がれば良いと思っています。そして、タイと日本のミュージシャンとの交流がもっと盛んになってくれることを期待しています。
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