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タイのコラム「中国と日本では、ODAの質が違う!」

2018年12月28日 配信

2018年12月17日付けのタイの現地大手英字紙のBangkok Postに、興味深いコラムが掲載されていました。

■Not all aid was created equal(日本と中国の援助の中身は同じではない)|Bangkok Post

記事はタイ人の記者の方が、タイの歴史ある名門大学のチュラロンコン大学の国際関係の専門家であるTeewin Suputtikun氏の話を書いたコラムであり、タイ国内の意見をよく表すものです。



当コラムの副題には「日本と中国が東南アジアでのODA(政府経済援助)で競争をしてプレゼンスを増す中で、援助に見せかけた借金の罠が国のリスクとなっている」という事が書かれています。

記事で伝えられている概要は、以下の通りです。

中国の「一帯一路」政策と、日本の新インド太平洋政策がせめぎあい、メコン川流域は両国の経済援助の”戦いの場”となっています。

メコン川流域としては、中国や日本のODAが経済開発に使われる事が増えていくにつれて、経済的な”依存体質”が発生するリスクが高まっていることが、専門家に指摘されています。

日本は同地域で最大の支援国であり、ODA(政府経済援助)やNGO(非政府組織)を通じてさまざまな援助や技術支援をしています。

日本の援助は長期間にわたり、質の高い援助を提供してきたと評価されていますが、一方で、近年増加している中国の経済援助は、隠された動機があるものと認識されています。

専門家は「アフリカ諸国などの事例では、公共インフラの開発等で中国の経済援助を受けて返済が滞れば、ことごとく中国側に引き渡されています。タイもそこから学ばなければいけません」と見解を語って、中国からのODAに警鐘を鳴らしています。

加えて、日本のODAはOECDの規制によって透明性が高いのに対し、中国はOECD非加盟で、その経済政策も水面下で変化させることが容易であるため、中国のODAはリスクが高い点を指摘しています。

タイはこれまで日本の援助を長期間にわたり受けてきました。

過去には日本の援助も、支援する日本のメリットに重きがおかれていた所もありましたが、日本はそこから教訓を学んで変わり、現在までに質の高い援助を提供してきたと評価されるに至っています。

しかしながら現在、日本の経済力が低下している中で、この構図が変わる可能性が起きています。

中国は(日本と異なり)民主主義国ではないので、独裁国家に対して民主化を求めるという事はありませんから、非民主的な政治体制には好都合な面もあり、今後は中国の経済援助が増加する可能性が高まっています。

日本にとっては、日本とを繋ぐシーレーンの防衛のためにもタイは重要です。

中国にとっては、東南アジアでの一帯一路の拠点として重要ですから、それぞれの援助国にとっても、タイを援助する事にはメリットがあります。

だからこそ、タイは両国との関係を見極めながら、援助には注意をして、両国との関係を作っていく事が必要です。」

タイ国内でも、日本と中国のODAでは、その質、さらにはその目的が違う事が指摘されている事がわかりますね。

しかしながら、上記のコラムでも指摘があった通り、西側各国と同様に日本もタイの民主化を求めていますので、非民主的な政治体制では、民主化を求めない中国の経済援助の魅力が増す現実もあります。

また、日本の経済力が低下している事も指摘されており、全般的に冷静で面白いコラムだと思います。

日本のODAの評価を聞いて、戦前に台湾、満州などでも活躍した政治家、後藤新平の言葉を思い出しました。

彼は、(自治ができるようにするための)自治の三訣(さんけつ)は「自助、互助、自制」

つまり、「人のお世話にならぬよう」「人のお世話をするよう」「報いを求めぬよう」にすることが、自治において肝要だという言葉です。

この自治を出来るようにすること、それが国際支援においての基本的な姿勢であり、決して片方があげるだけ、片方は受け取るだけという関係性を良しとしていません。

■参考 後藤新平|Wikipedia

このような日本らしい考え方の片鱗は、現在の日本の経済援助には見られると思います。

日本の現在の経済援助は、かつての「日本はお金を出すだけだ」という批判をされた頃と異なり、現地化をし、現地の人自身で作ったものだと思われる事を目標とするという話がありました。

この話は、以下の池上彰さんの言葉がわかりやすいので、下の記事を紹介します。

■池上彰さんに聞く! 日本が国際貢献にお金をかける意味ってあるんですか?」|日経ビジネスオンライン(2010年11月9日)

池上:国際貢献の現場で活躍している日本人の方々が共通しておっしゃっていたことです。井戸でも、橋でも、学校でも、病院でも、日本の援助で作ったものを、「現地の人々が自分たちで作ったんだ」と思わせること。これが目標であり、理想である、と。これが最高の援助の形なんだ、と。

なぜだかわかりますか?
現地の人が「自分たちで作った自分たちの施設だ」と思ってくれない限り、その施設は援助した先進国の人々がいなくなったとたんに、メンテナンスされずに打ち捨てられていくからです。

たとえば、途上国に援助で病院を建ててあげたとしましょう。建物を作って、医療用品を買い揃えて、現地の自治体に「はい、できました。どうぞお使いください」とただ渡しても、あっという間に病院施設は使いものにならなくなります。なぜならば、現地で足りないのは施設だけじゃなく、その病院そのものを使いこなすノウハウであり、人材だからです。ハードをいくら揃えても、ソフトがなければ動きません。

どうすればいいか。現地の人たちと同じ目線に立って、病院の運営の仕方を一緒に立ち上げていくわけです。

このような、日本らしい経済援助が、タイ国内のコラムで評価されているのかと思わされるという意味もあり、大変興味深いバンコクポストのコラムでした。

日本としては、経済力を高める努力をした上で、タイでも日本らしい、本当に現地のためになる、質の高い援助を実現したいですね。