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【タイ贈賄事件】日本で初の司法取引公判が始まり、タイで反響!

2018年12月27日 配信

日本で、司法取引の適用として第一号となったタイの公務員への贈賄事件の公判が始まり、大きなニュースとなっています。日本の報道も、2018年12月26日の東京新聞は以下のように伝えています。

■司法取引第1号 公判始まる タイ贈賄事件|東京新聞



以下に記事の一部を引用します。

司法取引制度が初めて適用されたタイの発電所に絡む贈賄事件で、不正競争防止法違反(外国公務員への贈賄)の罪に問われた「三菱日立パワーシステムズ」(MHPS、横浜市)の元執行役員錦田冬彦被告(63)と元部長辻美樹被告(57)は二十五日、東京地裁(任介辰哉裁判長)の初公判で起訴内容を認めた。地裁は、検察側と会社が今年六月二十八日に交わした司法取引の「合意内容書面」を証拠採用した。

書面には、MHPSが事件に関する八十六点の資料を提出し、捜査や公判に協力する代わりに、法人を起訴しないことが盛り込まれた。担当検事とMHPS社長、弁護人が署名した。

起訴状によると、二人は元取締役の内田聡被告(64)と共謀し二〇一五年二月十七日ごろ、現地の港に資材を荷揚げする際、タイ運輸省港湾局の支局長から許可条件に違反すると指摘され、黙認してもらうなどの便宜を受けるため、輸送業者を通じて現金千百万バーツ(当時のレートで約三千九百万円)を渡したとしている。

上記記事の通り、タイの運輸省港湾局の支局長に指摘された違反を黙認してもらうため、日本企業の三菱日立パワーシステムズ(MHPS)が、タイ政府高官に1100万バーツの賄賂を輸送業者を通じて渡したとされ、外国公務員への贈賄により不正競争防止法違反に問われた事件の初公判がありました。この公判が日本で初の司法取引の適用案件である事から、日本でも大きな注目を集めています。

日本の多くの媒体が報じた今日、タイでも現地の英字メディア大手であるBangkok Postも、以下の通り報じています。

■Ex-M’bishi Hitachi execs admit to bribing Thai official(元MHPS幹部、タイ公務員への贈賄を認める)|Bangkok Post

このバンコクポストの記事ソースは共同通信ということですので、事実関係は正確に書かれています。

記事内容は上記と同様の事実関係が淡々と書かれていますが、ただ、Bangkok Postでは上記の経緯の中で、MHPSの当時取締役だった内田聡被告(64)が、タイ運輸省港湾局からの賄賂の要求を受けた後、当時執行役員の錦田被告(63)と当時部長の辻被告(57)から相談を受けて、このままでは遅延してしまうと考えて賄賂の要求に応じて支払った事を、検察側が裁判で明かしたこととして詳細に書いています。

一方で、日本の報道とは異なり、日本の司法取引の制度や批判については何も言及していません。

タイでは、本件が日本で立件された事を受けて、賄賂を受け取ったとされるタイの運輸省港湾局について調査をするとしていますが、その捜査の進展は発表されていません。

このような状況の中で、日本の裁判所で被告人二人が贈賄を認めた事で、賄賂を支払った方は認めているのに、タイ側はどうなっているのだという批判が起きています。また、賄賂をもらっていたタイ公務員の名前もニュースに書かれていないため、その点を指摘する声なども上がっています。

2015年にタイでは公務員の汚職が立件された場合の法改正が行われ、その罪は下記の通り重く、公務員の収賄罪の最高刑は死刑です。

タイ汚職防止法(2015年7月10日改正法施行)
<Organic Act on Counter Corrpution, No.3 B.E. 2558(2015)>
Baker McKenzieの翻訳を引用。下線、太字は筆者追記)

1)公務員は、何らかの職務の実施又は不実施の見返りに、その合法性を問わず、自己又は他人のために財物又はその他利益を要求、受取、又は受取に同意した場合、終身刑以下又は死刑に処される。

2)何人も、利益又は損害が発生するかを問わず、不正もしくは不法に、又は個人的影響力を行使し、公務員に何らかの職務の実施又は不実施を説得するため、財物又はその他利益を要求、受取、又は受取に同意した場合、最大5年間の懲役に処される。

3)何人も、公務員に対し、不正な行為、遅延、又は不実施を説得するため、財物又はその他利益を贈与、提供、又は贈与に合意した場合、最大5年間の懲役に処される。

このような重い罪に問われるタイの公務員の収賄罪ですが、PJA NEWSでも既報の通り、今タイで話題となっているプラウィット副首相の腕時計問題のように、なかなか公務員幹部への捜査が進まない事が多くあり、この批判がタイの世論で巻き起こっているものです。

■プラウィット副首相の腕時計問題、NACCが報告書を受領 (2018年12月16日)

日本では本事件は「司法取引の適用が適切と言えるのかどうか」という論点が話題となっていますが、タイでは違った論点が話題となっています。

タイの場合は、政府高官や、お金持ちの場合は、違法行為をしても法律の通り裁かれないというケースが頻発しており、タイ世論では不満がたまっているという背景もあります。

国家にとっての唯一の安定状態は、法律の前に全ての人間は平等ということである。
(アリストテレス「政治学」<紀元前4世紀頃>より)

古代ギリシャのアリストテレスが唱えた「法の下の平等」の基本概念を表す言葉です。

約二千四百年も昔の古代ギリシャの哲学者の概念も、これを実現するという事は、現代でも簡単ではないという事を実感させられます。

このような中で、あと約2か月の来年2月末に選挙を予定し、民主化に向けて動き出しているタイ。

この後の民主化の動きがどうなるか、注目が集まります。

(参考) 「政治学」アリストテレス Wikipedia

 

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