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第98回 自然体の男が拘るチームタイトル タイサッカーの凄ぇ奴-Chonburi FC 櫛田 一斗選手-

2013年03月03日

2013年3月3日 掲載

 新米ライターの雑談(インタビュー)シリーズ、今回はタイで一気にスターダムへと駆け登ったChonburi FCの櫛田 一斗選手である。俺は親しくならないと記事に出来ない不器用なライターだから、今まで面識はあるものの面と向かって話したことが無かった櫛田選手を今まで取り上げてこなかった。だけどやっぱりこの選手は外せないよね、という事で友人のChonburi FCスタッフ小倉氏に「櫛田選手にインタビューをしたいんだけど…」と半ば強引に依頼を聞き入れて貰った。

 「彼はシャイである」と事前に聞いていたので、「雑談をしている感じでインタビューをしたいから、そこんとこヨロシク」と小倉氏にリクエスト…が、これが間違った方向に進んでしまった。待ち合わせに現れたのは、櫛田選手はもちろんの事トレーナーやらコーチやら自己主張が強そうな人達が他に4人。「これはやべぇぞ…(汗)」と思ったんだけど、予感は的中、櫛田選手以外がまぁ良く喋る×2。「チキンスープの話」やら「野良犬の縄張り争い&強姦の話」やら…気付くと取材を行ったお店の閉店時間に一気に近づいてしまっていた。

 そんな彼らを櫛田選手は優しい眼差しで見守りつつ本当にリラックスをしていた、要は自然体なんだよね。でも折角Chonburiまで来たんだからインタビューをしなきゃ…という事で話しを聞いてきた。

 彼は京都産業大学から佐川印刷SCへ、そこで2年間をアマチュアで過ごした。JFLでは2年連続全試合出場を果たしていたが、サッカー選手として更なる成長を見込んで自ら佐川印刷SCを辞め、タイサッカー界へ飛び込んで来たのだという。タイでプロサッカー選手になったのは彼のその後の活躍はもう皆さんご存知であろう。タイでの連続試合フル出場記録やベストイレブン、ベストMF賞等獲得出来る個人タイトルはことごとくこの2年間で手にしてきた。

 しかし彼が一番Chonburi FCで自分の成長に影響しているのは”アジアを相手に真剣勝負の場を踏めている事”だという。自分の中で経験したことのない強さや速さを特に中東のチーム勢を相手に感じる事が出来た。彼の目はこの先ヨーロッパに、最終的にはJリーグへと向いている。そこで自分に足りないものをアジアとの戦いで確認出来たのだそうだ。

 選手としてどのチームでも常に試合に出続けている櫛田選手、「自分の最大のストロングポイントは!?」との問いに、「これと言った武器は…自分はどんな相手とも合わせられるので…」との答えが返ってきた。サラッと言ったこのセリフ、俺は”全てを卒なくこなせる技術を持つ自分への自信”と受け止めた。試合に出続けるのが当たり前のように、これが彼には自然なのであろう。

 Chonburi FCはここ数年リーグタイトルから遠ざかっている。チームエンブレムが変わった今季、チームは本気でタイトル獲得を目指している。その現れとして今季はタイトルを獲得した年のユニホームにデザインを戻している。そしてこの男も…「今欲しいのは優勝、このチームでリーグ戦のタイトルを獲りたいんです」と話した時の目に一瞬光が宿ったのを俺は見逃さなかった。彼も今季にかけている、この一言だけで十分伝わってきた。

 TPL開幕は今週末、3月2~3日である。今季もこの男の活躍から目が離せなそうである。


伊藤琢矢(いとたく)

アマチュアに拘りプレーを続けた20代。33歳でのプロ契約を期にJリーガーを目指す事に。大宮・岡山・北九州とJリーグ昇格に携わり、自身は36歳でJのピッチに立った。2011年よりタイに活躍の場を移した「夢追人」。
いとたくブログ『夢追人』
Regista in Thailand
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